先の衆議院選挙では、国民の厳しい審判が下り、与党は歴史的大敗を喫し過半数を割り込むこととなりました。私自身も、東京30区での初めての戦いに敗れ小選挙区の議席をお預かりすることができませんでした。
そのような中にあっても、選挙戦を支えてくださったスタッフやボランティアの皆さん、私に一票を投じてくださった91,798人の有権者の皆さまに深く感謝申し上げます。
先の衆議院選挙では、国民の厳しい審判が下り、与党は歴史的大敗を喫し過半数を割り込むこととなりました。私自身も、東京30区での初めての戦いに敗れ小選挙区の議席をお預かりすることができませんでした。
そのような中にあっても、選挙戦を支えてくださったスタッフやボランティアの皆さん、私に一票を投じてくださった91,798人の有権者の皆さまに深く感謝申し上げます。
わが国経済は、アベノミクス路線を堅持し、コロナ禍にあっても金融緩和と大胆な財政出動により経済を下支えした結果、長らく500兆円前後に低迷してきた名目GDPはようやく600兆円に達し、6月の実質賃金が27か月ぶりに前年比プラスになるなど、30年間続いたデフレ脱却の大きなチャンスを迎えています。
150日間の通常国会は、「政治とカネ」の問題一色の様相を呈してしまったように見られがちですが、政府提出法案の98%が野党も含めた多数決で成立しました。
その中には、私の専門分野である安全保障やこどもの未来保障に関する重要法案も含まれています。たとえば…
先ず、「政策」以前の問題として、今回の「政治とカネ」事件について、自民党国会議員として率直にお詫びせねばなりません。もちろん、私自身は、政治活動に係る全ての収支は報告・公開しております。しかし、自分は潔白だと叫ぶだけでは済まされないほど事態は深刻です。政治への信頼回復、とりわけ自民党政治に対する国民の皆さまの不信感の払拭に全力を挙げねばなりません。
緊急に改革すべきポイントは、以下の3つだと考えます。
第一に派閥によるパーティを禁止すると共に、収支報告に関し会計責任者と国会議員との間に原則として「連座制」を適用するよう政治資金規正法を改正すること、第二に不透明で恣意的な運用が常態化している政党の「政策活動費」を抜本的に見直すこと、第三に旧文通費の使途を透明化すること、などです。
現行の政治資金規正法では、議員側からの積極的な働きかけが認定できない限り処罰されるのは会計責任者のみということになってしまいますが、これを原則「連座制」にして、会計責任者による独断専行が立証されない限り議員も処罰の対象となるよう法改正するものです。
これにより、収支報告書不記載に対する抑止が高まると考えます。政治とカネをめぐっては、法律以前に、私自身も含め政治家が厳しく自らを律する姿勢が求められると考えます。
2/5予算委員会で質疑登壇(概要)
○長島 我が国の安全保障政策はようやく国際標準に達しつつある、そのことが、アメリカを始め、同盟国あるいは同志国の期待値を高める結果になっている、このように考えています。
ただし、残念ながら、停滞している分野もございます。大きく三つです。一つは、セキュリティークリアランス制度の導入。もう一点は、防衛装備品の海外移転をめぐる規制緩和。そしてさらには、三点目、能動的サイバー防御、アクティブサイバーディフェンスを実施するための法整備と体制の整備。中でもあとの二つは決定的に遅れています。
■次期戦闘機
○長島 次期戦闘機をアメリカでも自主開発でもない英国、イタリアと共同開発することを選択した。戦闘機を開発できるか否かはまさしく我が国の国益の根幹にかかわる問題です。製品はスケールメリットを念頭に置いて英伊両国は調達価格を低減するために完成品の輸出が必要だと考えている。完成品の第三国移転について、その必要性は。
今年こそ「未来に誇れる日本」のため、
政治不信を一掃し、日本経済を再び成長軌道へ!
さわやかな大谷翔平選手のL.A.ドジャース入団の報道と終盤国会を揺るがした「派閥パーティ裏金問題」をめぐる暗いニュースが交錯する中、複雑な思いで年を越しましたが、新年早々、能登半島大地震と日航機事故が重なり、波乱の年明けとなりました。尊い命を落とされた方々のご冥福をお祈りすると共に、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。政府与党挙げて、一日も早い復旧復興を実現します。
先ず、「政策」以前の問題として、今回の「政治とカネ」事件について、自民党国会議員として率直にお詫びせねばなりません。もちろん、私自身は、政治活動に係る全ての収支は報告・公開しております。しかし、自分は潔白だと叫ぶだけでは済まされないほど事態は深刻です。政治への信頼回復、とりわけ自民党政治に対する国民の皆さまの不信感の払拭に全力を挙げねばなりません。
緊急に改革すべきポイントは、以下の3つだと考えます。第一に派閥によるパーティを禁止すると共に、収支報告に関し会計責任者と国会議員との間に原則として「連座制」を適用するよう政治資金規正法を改正すること、第二に不透明で恣意的な運用が常態化している政党の「政策活動費」を抜本的に見直すこと、第三に旧文通費の使途を透明化すること、などです。
現行の政治資金規正法では、議員側からの積極的な働きかけが認定できない限り処罰されるのは会計責任者のみということになってしまいますが、これを原則「連座制」にして、会計責任者による独断専行が立証されない限り議員も処罰の対象となるよう法改正するものです。これにより、収支報告書不記載に対する抑止が高まると考えます。いずれにせよ、政治とカネをめぐっては、法律以前に、私自身も含め政治家が厳しく自らを律する姿勢が求められると考えます。
その上で、日本経済を再び成長軌道に乗せ、国民の暮らしを豊かにするための政府与党の総合政策を、令和6年度予算案および税制改革大綱に沿って説明させていただきます。
私が最も重視するポイントは、以下の3つです。
(1)家計の可処分所得を拡大し、消費拡大からデフレ完全脱却への道筋を描くため、①定額減税(2024年度の所得税・住民税から納税者本人と扶養家族一人当たり 4万円を差し引く:4人家族なら16万円)、②賃上げ促進税制の大幅拡充・延長(大企業や中小企業に加え、新たに「中堅企業」にも税制優遇措置を拡張し、物価高に負けない賃上げを全ての企業に促す)、③非課税扱いの経費として計上できる「企業交際費」を5000円から1万円に倍増(中小企業向け交際費年間800万円まで損金扱いできる特例も延長)、④すでに昨年10月から実施している「106万円/130万円の壁」の撤廃により、安心して働ける環境を整えます。
さわやかな大谷翔平選手のL.A.ドジャース入団の報道と終盤国会を揺るがした「派閥パーティ裏金問題」をめぐる暗いニュースが交錯する中、複雑な思いで本稿を認(したた)めています。
本来は、同時進行で策定された来年度『予算大綱』と『税制改革大綱』について真っ先に報告せねばならないところです。しかし、「政策」以前の問題として、今回の「政治とカネ」事件について、自民党国会議員として率直にお詫びせねばなりません。もちろん、私自身は、政治活動に係る全ての収支は報告・公開しております。しかし、自分は潔白だと叫ぶだけでは済まされないほど事態は深刻です。政治への信頼回復、とりわけ自民党政治に対する国民の皆さまの不信感の払拭に全力を挙げねばなりません。
緊急に改革すべきポイントは、以下の3つだと考えます。第一に派閥によるパーティを禁止すること、第二に不透明で恣意的な運用が常態化している政党の「政策活動費」を抜本的に見直すこと、第三に収支報告に関し会計責任者と国会議員との間に原則として「連座制」を適用するよう政治資金規正法を改正すること、などです。現行法では、議員側からの積極的な働きかけが認定できない限り処罰されるのは会計責任者のみということになってしまいますが、これを原則連座制にして、会計責任者による独断専行が立証されない限り議員も処罰の対象となるよう法改正するものです。これにより、収支報告書不記載に対する抑止が高まると考えます。いずれにせよ、政治とカネをめぐっては、法律以前に、私自身も含め政治家が厳しく自らを律する姿勢が求められると考えます。
その上で、日本経済を再び成長軌道に乗せ、国民の暮らしを豊かにするための政府与党の総合政策を、『予算大綱』や『税制改革大綱』に沿って、ここに報告させていただきます。
私が最も重視するポイントは、以下の3つです。
(1)給料が上がる経済の構築・・・来年の夏までに
(2)こども達の未来を保障する社会の実現・・・数年以内に
(3)再び成長する日本経済の創造・・・中長期を見据えて
(1)家計の可処分所得を拡大し、消費拡大からデフレ完全脱却への道筋を描くため、①定額減税(2024年度の所得税・住民税から納税者本人と扶養家族一人当たり4万円を差し引く:4人家族なら16万円)、②賃上げ促進税制の大幅拡充・延長(大企業や中小企業に加え、新たに「中堅企業」にも税制優遇措置を拡張し、物価高に負けない賃上げを全ての企業に促す)、③非課税扱いの経費として計上できる「企業交際費」を5000円から1万円に倍増(中小企業向け交際費年間800万円まで損金扱いできる特例も延長)など。
(2)こどもの未来を保障するために、①児童手当の対象を高校生まで拡大し所得制限も撤廃、②その代わり、扶養控除については、現行の所得税38万円を25万円に、住民税33万円を12万円に縮小する方針ですが、政府試算では高校生への児童手当月額1万円(年12万円)が支給されれば、手取り額は世帯収入に応じて3.9万円から12万円増える見込みです。③扶養控除の見直しに合わせ、ひとり親への税制優遇も拡充、④すでに縮小が決まっていた住宅ローン減税は、子育て世帯や若者世帯に限り上限額を1年延長するなど。
(3)中長期の成長政策として、半導体や脱炭素など国際競争が激化する戦略物資や技術革新についての国内回帰をさらに促進するため、「戦略分野国内生産促進税制」(法人税を10年間最大4割控除)を新設します。これは、欧米など各国が優遇税制によって有力企業の囲い込みを図っていることに対する競争政策の一環で、大規模な企業支援を通じて国内投資を後押しし、賃上げや経済成長につなげていくものです。すでに、台湾の最先端半導体メーカーTSMCの誘致で活況を呈する熊本はじめ、北海道や広島、三重など海外企業との提携や海外からの投資の拡大によって、中長期の経済成長を軌道に乗せていきます。
このように、今回の『予算大綱』や『税制改革大綱』で示した道筋こそ、政府が目指す「物価高に負けない賃上げ」トレンドを遅くとも来年夏のボーナス支給時期までに確かなものとし、30年続いた重苦しいデフレからの完全脱却を実現するものです。それが達成されれば、税収は自ずと拡大しプライマリー・バランスの黒字化は実現するでしょう。つまり、増税の必要はないのです。
私も、引き続き、働く人々の給料が上がり、こども達の未来を守り、日本経済を成長させる政策実現ために、全力で国政に邁進してまいります。
私たちは、こども達にどんな未来を残せるでしょうか。
こどもの貧困や児童虐待、いじめ、不登校、教育機会の格差、若い世代を追い詰める奨学金の返済など、こども・子育てを取り巻く環境をこのままにしておくわけにはいきません。このままでは、こども達が大切な未来を失ってしまう!
私は、この10年、焦る思いで、こども子育て政策に取り組んでまいりました。
国内で子育て政策で頑張っている明石市(泉房穂市長=当時)や和光市(松本武洋市長=当時)、福岡市(高島宗一郎市長)などに足を運びました。里親さんとして何人ものこども達を育て上げたご夫妻のお宅にも伺いました。
児童養護施設のクリスマス会や運動会には毎年お邪魔しています。また、国会でも、塩崎恭久元厚労大臣から引き継いで「児童養護・虐待防止のための超党派議連」の会長として、児童福祉法の改正やこども基本法の制定に取り組みました。
そして、5年前、“世界で最も子育てしやすい国”フィンランドにも自費で視察に行きました。そこで見学した「ネウボラ」という子育てファミリー・サポート事業は、目から鱗と共に涙が出るほど感動的な制度でした。
フィンランドの子育て家庭の98%が利用している無償のシステム「ネウボラ」は、昨年で創設100周年を迎えましたが、妊娠から出産を経て子どもが就学するまでの約7年間を、一人の保健師さん(かかりつけ)が健康診断を通じて家族丸ごと(親も兄弟姉妹も一緒に)ケアする仕組みです。7年間も同じ保健師さんが家族と接するわけですから、気軽に愚痴も言えるし、悩みや不安の相談もしやすく、家庭の中で親でも子でもリスクが生じたら、その保健師さんが早期発見、即対応で、責任をもって適切な専門的支援につなげてくれるから安心なのです。
たしかに、似たような「切れ目のない伴走型」の子育て支援の仕組みを“日本版ネウボラ”と呼んで導入している自治体はありますが、一番の肝である「かかりつけの保健師さん」が一定期間同じ家庭をケアする真のネウボラ制度は、未だこの国にはありません。
たとえば、1歳半と3歳時に行う(法定)乳幼児健診。この健診会場に現れない親子が全国平均で約5%います。それ以外の95%の家庭は大丈夫だから、で済まされる問題ではありませんね。3~5歳で幼稚園にも保育園にも通っていないこどもの数も全体の約5%です。この5%の家庭こそが、リスクを抱えて地域コミュニティから孤立し、もしかしたら児童虐待など厳しい環境に置かれている可能性があり、緊急に支援を必要としているのです。
就学前の幼児期における教育投資の重要性を訴えるノーベル経済学者ジェームズ・ヘックマン教授の言葉を借りるまでもなく、日本には「三つ子の魂、百まで」という諺があるように、幼児期における成育環境は、こども達の成長に決定的な影響を与えます。この頃の逆境体験が発達障害を引き起こしたり、心に深い傷を残したり、虐待の連鎖につながってしまうとされます。親子の愛着関係がとても大切な(妊娠期から)幼児期においては、どんな境遇に生まれたこどもでも「家庭的な養育を受けられるようにすべし」というのが、平成28年の改正児童福祉法の基本ビジョンで謳われていますが、この理念を制度として徹底せねばなりません。
そこで、このネウボラ制度なのです。ネウボラ保健師さん(もちろん、保育士さんでも研修を受けた子育て経験豊富な保育ママでもいいと思います)が、親御さんが不安や悩みを抱える妊娠期から0~2歳までの「不安定な3年間」に、効果的なサポートを提供してくれるはずです。じっさい、児童虐待によって失われるこどもの数は、日本では年間60~70件(政府発表。これに対し、小児科学会では年間300件以上あるとしています)ですが、ネウボラの母国フィンランドでは、年間0.3件(つまり、3年に1人!)なのです。
今年の4月、こども家庭庁が創設され、こども関連予算が増額されましたが、どちらかというと、これから生まれてくるこどもへの支援メニューに偏った印象です。たしかに、児童手当の所得制限撤廃や、貧困率5割超のひとり親家庭への支援拡充、大学生や専門学校生への給付型奨学金拡大は、こども達の未来を保障するための大事な施策です。
しかし、私は、すでに生まれて来たこども達を大切に育てることにもっと光を当てるべきだと考えます。増加するゼロ歳児の虐待死、こどもの自殺を未然に防ぐためには、孤独な育児など困難を抱えた親御さんへの手厚い支援が必要です。年末の「こども大綱」策定に向け、こども達の未来のために、真のネウボラ制度を全国に根付かせることができるよう、政府与党の中で全力を傾けて参ります。
7月15‐16日の二日間、同僚議員と共に都内のホテルに缶詰となって、民間シンクタンク(日本戦略研究フォーラム)が主催する「台湾海峡危機政策シミュレーション」と格闘しました。
この政策シミュレーションは、現職国会議員が首相はじめ主要閣僚役を務め、マスコミ取材フルオープンの中で、様々なシナリオに基づいて政策決定を迫られるというものです。
私は、初回から参加してきましたが、日本チームに加えて、昨年は米国チームが、そして、今年は台湾から専門家が参加しました。いずれも、実務経験豊かな元政府高官および軍幹部OBで、現実的で的確な対応が非常に参考になりました。
シナリオは、サイバー攻撃などハイブリッド戦に始まり、危機がエスカレートする中で、①中国による台湾への軍事侵攻が現実化した場合、②米国が台湾防衛のために介入することを決断し、日米安保条約第6条に基づき在日米軍基地を使用するための事前協議を日本政府に求めた場合、さらには、③尖閣諸島や与那国島への領土侵害が行われ西日本がミサイル攻撃にさらされる事態に陥った場合、など極めてリアルな想定のシナリオが突きつけられ、私たち閣僚はそのつど対応を迫られました。
1回目は防衛大臣役、2回目は米国国務長官役を務めた私は、今回は、昨年に続き首相役の小野寺五典さんを支える「官房長官」役を務めました。
今回のシミュレーションは、現在ではなく“2027年”という近未来に設定されました。2027年というのは、昨年の安保3文書に基づいて行われる「防衛力の抜本的な強化」の“第一弾”が終わる年です。つまり、我が国が一定の反撃能力を保有し、能動的なサイバー防御態勢も整い、有事の際に海上保安庁が防衛大臣の指揮下に入る「統制要領」も確立し、被侵略国等に対する防衛装備品の提供も可能となっている等、といった想定で行われました。
これは、現状の保有能力や法体系を前提に行われた過去2回のシミュレーションと大きく異なる点です。これまでの2回は、シナリオを突き付けられるたびに、「こんなこともできないのか!」という歯がゆさの連続でしたが、今回は、実行可能な政策選択肢の幅が広がり、日米同盟協力もかなり円滑に進めることができました。しかし、その分、極めてストレス度の高いより複雑なシナリオを突き付けられ、演習とはいえ神経をすり減らすこととなりました。
シナリオの詳細については、「日本戦略研究フォーラム」のHP(www.jfss.gr.jp)をご参照いただければと存じますが、以下に、今回のシミュレーションを通じて課題として浮き彫りになった重要なポイントを2つに絞って記しておきたいと思います。
第一に、「反撃能力」や「能動的サイバー防御力」を実効あるものとするためには、それを支えるアセットや法整備が必須となるという点です。スタンドオフ・ミサイルの射程を延伸し、敵の基地に反撃を加える能力を持ったとしても、目標を精確に探知・追跡(ターゲッティング)する「眼力」を持たなければ、役に立ちません。
この分野における米国依存を脱却して、独自の衛星や無人機といった探知アセットの整備を急ぐ必要を痛感しました。また、サイバー攻撃から電力網や通信、鉄道、医療、金融システムなど我が国の重要インフラを守るには、能動的サイバー防御を実施する政府機関に対する電気通信事業法や不正アクセス禁止法など現行法制の「適用除外規定」を設ける法整備が喫緊の課題となります。
第二に、「事態認定」の問題です。我が国の安全保障法体系には、他国にはない特有の「仕組み」が埋め込まれています。それが、事態認定です。それは、①我が国が武力攻撃を受けた(あるいは、受ける可能性が高まった)事態と、②未だ攻撃を受けてはいないが我が国の平和と安全に重大な影響を及ぼす事態の二つに分類されますが、この事態認定を行わないと、自衛隊を柔軟に動かすことも、国民保護を実施することもできません。しかし、シミュレーションでも明らかになったように、この二つの事態は、密接に連動するものです。
とくに、台湾海峡や朝鮮半島など我が国周辺で不測の事態が起こった場合、②の事態で米国(軍)が動く際には、必ず同盟国として我が国が相応の対応を迫られます。その時に、事態認定に手間取ってしまえば、目の前の事態に適時適切に対応できないばかりか、日米同盟協力にも穴を空けてしまいかねません。
この点については、前回のシミュレーションの後に、月刊誌『正論』2022年10月号に論考を寄せましたが、1年経った現在でも改善されていません。改めて警鐘を鳴らし、政府与党内で真剣に検討することを促します。
いずれにせよ、私たち政治家に課された最大の責務は、そもそもこのような有事を起こさないことです。そのための外交努力こそが大切です。しかし、「汝、平和を望まば、戦に備えよ」という人類古来の格言が示すように、有事に対する冷徹にして周到な備えなくして、有事を抑止し平和を維持するための外交を柔軟に展開することはできません。
私、長島昭久は、そのことを肝に銘じて、引き続き外交・安全保障に全力で取り組んでまいります。
ロシアによるウクライナ侵略の暴挙が続く中で迎えたG7広島サミットは、ゼレンスキー大統領が戦時下の祖国を離れ電撃参加するなど、歴史的に意義深い首脳会議となりました。
とりわけ、ロシアの核恫喝が繰り返される中で、原爆の爆心地広島において、「核の脅威なき世界平和」という国際正義を、先進7か国のみならず、豪州や韓国といった同志国はじめインドやインドネシア、ベトナム、そして太平洋諸国フォーラムの議長国クック諸島などグローバルサウスを代表する各国首脳の間で共有し、世界に向かって発信できたことは大きな成果です。
今回のG7広島サミットの最大のテーマは、中露を枢軸とした「力による一方的な現状変更」の挑戦から国際秩序を守り抜くことでした。
その目標を実現できたのは、昨年末の安全保障3文書によって我が国の戦後防衛政策を大きく転換し、日米同盟を中心に抑止力・防衛力の抜本的な強化を図る政治決断を行うことによって、議長国・日本が確固たるリーダーシップを示すことができたからだと考えます。
強固な抑止力を基盤に、インドや豪州を巻き込んだ「クワッド」の連携、日米韓の協力、グローバルサウスとの協調を推進する戦略的な外交を展開することができたのです。
私は、安全保障のエキスパートとして、また、超党派人権外交推進議連の会長として、引き続き責任ある日本外交の推進のために全力を尽くしてまいります。
その中で、終盤国会の重要課題を3つ挙げたいと思います。第一に、防衛力強化のための基金を創設する「防衛費増額財源確保法案」の早期成立です。第二に、こども政策推進のための財源確保です。第三に、憲法審査会の審議促進です。
冒頭に述べたように、力強く戦略的な外交を推進するためには、その基盤としての防衛力強化が不可欠です。とりわけ、財政的な裏付けを明らかにし国民の理解を得ることは政治の責務です。
その際、自民党内でも未だ決着を見ていませんが、安易に増税に頼るべきでないというのが私の基本的スタンスです。たしかに、防衛力強化についての国民的コンセンサスを得るためには、広く税負担をお願いするのが筋との意見にも一理ありますが、「財源イコール税負担」というのはあまりにも短絡的です。
とくにコロナ禍のどん底から懸命に立て直しを図っている国民経済に増税の冷や水を浴びせるのは無責任の極みです。
歳出改革や特別会計剰余金の活用など財源は十分手当てできますから、今回の財源確保法の制定を通じ政府の真摯な努力を促し、税負担を最大限圧縮するよう同志の皆さんとさらなる努力をいたします。
つぎに、異次元の少子化対策のための財源確保です。現状、我が国のこども子育て予算は、OECD諸国の平均値よりも少ないことが知られていますが、それを数年かけて倍増しようというものです。
昨年の出生数が、予測よりも8年も早く80万人を割り込んでしまい、抜本的な子育て政策により出産や育児をめぐる経済的不安や心理的負担を極力解消することが急務です。それには相応の財源手当てが必要となりますが、ここでも税負担か保険方式かという二者択一の議論に陥る傾向があります。
私は、ここは思い切って、一部野党からも提案されている「こども国債」を発行し、最も深刻といわれる向こう10年間を子育て集中投資期間と位置付けて、政策を総動員すべきだと考えます。
今後は、4月に立ち上げた子ども家庭庁を司令塔に、秋の「こども政策大綱」の策定に合わせ、国民の皆さんが将来世代のために気持ちよく応援できる環境整備に尽力してまいります。
第三は、長年の懸案である憲法改正問題です。私も前国会までは衆議院憲法審査会の委員でしたが、憲法改正を議論することすら反対の共産党や立憲民主党によって、憲法審査会が定期的に開催できない異常な事態が続きました。
しかし、最近になって、日本維新の会や国民民主党が理解を示し、とくに大災害や戦争などによって国会そのものが開けないような深刻な危機に対応するための「緊急事態条項」が現憲法に欠落していることへの問題意識が広く共有されるようになりました。
もちろん、私自身は、理想と現実の乖離によって空洞化してしまっている憲法9条の改正こそ喫緊の課題だと考えますが、まずはコンセンサスを得られる緊急事態条項から国会の発議を行い、国民の議論を喚起していくことが緊要ではないでしょうか。
いずれにせよ、今国会は、私が委員長を務める東日本大震災復興特別委員会での審議も含め、最後まで緊張感をもって「未来に誇れる日本」のために全身全霊を捧げてまいります。
令和5年が明け、第211回国会が召集されました。
今国会の最大のテーマは、防衛力の抜本的強化と“異次元の少子化対策”(岸田首相)です。
昨年末に、衝撃的な数字が発表されました。
予測より8年も早く出生数が80万人を割り込むことが確定したのです。
我が国の人口は2011年から毎年減り続け、令和3年の減少数は60万人を突破しました。
とりわけ国の活力を示す生産年齢人口(15‐64歳)の減少は1995年以来減少し続けており、我が国は遠からず衰亡の危機に直面することになるでしょう。その意味で、岸田首相が少子化対策を政権の最優先課題に据えたことは時宜に叶っています。この4月には、こども政策の司令塔である「こども家庭庁」も発足します。
しかし、もはや手遅れではないかという厳しい批判もあります。すなわち、終戦直後の1947‐49年に生まれた「団塊の世代」は年間270万人超に上り(第一次ベビー・ブーム)、その子供たちの「団塊ジュニア」(1971‐74年生まれ)は年間出生数200万人超に達しました(第二次ベビー・ブーム)が、その子供世代が生まれた1995年頃には顕著な出生数の増加は見られませんでした。「第三次ベビー・ブーム」は幻に終わってしまったのです。
この頃から、「少子化」が意識され始めましたが、当時はもっぱら「少子高齢化」と呼ばれ、2000年に介護保険制度がスタートするなど、政治は先に波が来る高齢化への対策に全力を挙げることになりました。その成果として、高齢者福祉政策は北欧諸国と比べても遜色ないレベルを実現することになりましたが、一方の「こども子育て・現役世代」支援は予算規模で高齢者関係費の1/10足らずにとどまってしまいました。
しかし、少子化による人口減少を反転させることは容易ではありません。そこで、政府は、女性が一生で産む子供の数を示す合計特殊出生率(昨年は1.33でした)に代わって、「希望出生率」(子どもを望む夫婦の希望がすべて適った場合の出生率)1.8を数値目標として掲げました。その上で、その希望を阻む様々な障害を一つ一つ除去することに全力を挙げる現実的な方針を立てたのです。ここで重要なことは、政策によって人口減少を反転させることは極めて困難であるとの認識に立ったということです。
すなわち、人口減少を所与のものとして、第一は、子供を希望する家庭への支援を最大限行うこと。第二は、人口減少をカバーする、無人化(ロボットの活用)や省人化(DXの推進)、海外人材の獲得など代替手段を追求し、人口減少社会を持続可能なものにしていこうとしています。
私が安全保障と共に重点政策の柱に据える「こどもの未来保障」は、もっぱら第一の少子化対策に関わる課題解決につながる施策展開です。
こども子育てをめぐる社会課題は多岐にわたります。妊娠から出産、育児、就学前の幼児教育、さらには初等中等教育、高等教育など、ライフステージに従って、問題も複雑化します。私も、これまで、待機児童の解消や、こどもの貧困や虐待問題、不登校やいじめなどに取り組んできました。そのことを通じて、次のような結論にたどりつきました。
“三つ子の魂百まで”という諺がありますが、小中学校における課題の大半は、就学前の育つ環境によって深刻な影響を受けるということが認識されるようになってきました。とりわけ、0‐2歳児の環境が決定的だというのが、名著『幼児教育の経済学』で有名なヘックマン博士の結論です。政策的には、母親の妊娠から2歳児までの3年間をどう支援するかで、その後のこどもや子育て家庭の状況が方向づけられるというのです。換言すると、その“決定的な3年間”に適時適切な支援を各家庭に提供できれば、発達障害(最近は子どもだけでなく、親も!)や、虐待、貧困、(外国人の親による)コミュニケーション不全、不登校などを未然に防ぐことができると考えます。
その意味で、私がかねてから提唱してきたフィンランド発祥の「ネウボラ」という仕組みは優れていると思います。妊娠から就学前までの7年間を定期的な健康診断という“機会”を通じて“かかりつけの保健師さん”が責任をもって子育て家庭“丸ごと”ケアする(リスクを早期に発見し、必要な専門的支援につなげる) “無償”の制度です。我が国にも同様の仕組みを導入している自治体は少なくないのですが、十分な研修や訓練を受けた専門の保健師や保育士の数が圧倒的に足りず、中途半端な状況にとどまっています。我が国には、子供関連の意欲的なNPOも育ってきていますし、まだまだ地域コミュニティの力も捨てたものではないし、予算と中核人材の確保ができれば、本場フィンランド以上の成果を挙げる仕組みを構築することができると確信します。日本にも真のネウボラを実現するべく全力を尽くします。
こども家庭庁発足の今年こそ、「こどもの未来保障」元年として、子供を望むすべての家庭が希望を失うことのないような環境をつくり上げることを目指し、政府与党に一因として、政策実現に粉骨砕身頑張ってまいります。
新春のお慶びを申し上げます。
昨年は、3年目に突入したコロナ禍に加え、2月にはロシアによるウクライナ侵略、ゼロコロナ政策の失敗による中国経済の停滞などにより、戦後の国際秩序が崩壊の淵に立たされ、世界経済の変調と深刻なエネルギー危機に直面する激動の一年となりました。
安全保障環境を無視してきたGDP比1%規制を撤廃
そのような中、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面した我が国は、安全保障政策の大転換を決断しました。向こう5~10年で我が国の防衛力を全面的に強化するものですが、何より画期的なのは、戦後半世紀以上にわたり防衛力整備を縛り付けてきた「GDP比1%」という防衛費の上限規制を撤廃したことです。
その上限規制は、昭和51年三木内閣で定められて以来、我が国を取り巻く安全保障環境とは無関係に、歴代政権によって“暗黙の了解”として継承されてきました。それでも、我が国の平和と安全が守られてきたのは、国連を中心とする国際秩序の下で、圧倒的な軍事力を誇るアメリカという同盟国の後ろ盾があったからだといわざるを得ません。
いつまでも“アメリカ頼み“は通用しない
しかし、そのアメリカも国連も、国連常任理事国のロシアによるウクライナ侵略を抑止することができませんでした。また、昨年9月以来50発以上の弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の蛮行を止めることもできません。さらには、過去30年で40倍以上にも膨れ上がった軍事費に任せて圧倒的な軍拡を推進し、東シナ海や南シナ海、台湾海峡で強硬な軍事活動を行っている中国を明らかに持て余している状況です。
このような中、我が国のみが安全保障環境の悪化を見て見ぬふりをして防衛努力を怠れば、地域の軍事バランスは益々不安定な方向に傾いてしまいます。そこで、故安倍元総理の後押しもあり、岸田政権が「防衛力の抜本的強化」の旗を掲げ、自民党では一昨年の暮れから1年以上かけて在るべき防衛力の姿を議論し、昨年末に安全保障関連3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)を策定し戦後政策の大転換を行ったのです。
国会で堂々と議論をしよう!
そして、いよいよ今年の通常国会では、5か年計画の初年度となる防衛予算案とともに、3文書および防衛力整備の中身についての本格的な与野党論戦が行われることになります。とくに、昭和31年に国会で合憲性が確認されていたにもかかわらず、周辺国への配慮やコストかかり過ぎるとの理由から導入を先送りにしてきた「反撃能力」の保有をめぐる議論が白熱するでしょう。
反撃能力は先制攻撃ではなく抑止のため
私は、複数の隣国が極超音速滑空兵器や弾道ミサイルによる奇襲攻撃能力を有する今日、“受け身”のミサイル防衛網だけで国民の命と平和な暮らしを守り抜くことはほぼ不可能になっている現状に鑑み、ミサイル防衛により飛来するミサイルを防ぎつつも相手からの更なる武力攻撃を防ぐために、我が国から「有効な反撃を相手に加える能力」がどうしても必要な時代になったことを、正面から国民に説明すれば十分納得を得られるものと考えます。こうした有効な反撃能力を持つことにより、武力攻撃そのものを抑止するのであり、相手を挑発するような先制攻撃を企図するものでは全くありません。
防衛力強化の財源、今は増税の時ではない
問題は、5年間で約43兆円もの防衛費をどのように捻出するかです。財源をめぐっては、昨年末の自民党税制調査会で激しい議論が交わされました。結局、岸田総理は「増税という安定財源なくして未来への責任は果たせない」と言明し、今年度は増税せず歳出改革等によって捻出するものの、令和9年度までのいずれかのタイミングで年間1兆円規模の増税を行う方針を打ち出しました。
しかし、私を含め、多くの同志議員が、このコロナ禍とウクライナ戦争、円安などにより打撃を受けた経済、企業、家計を下支えするために大規模な経済対策を行っている一方で、増税を声高に叫べば消費や投資意欲を萎えさせ、賃上げ努力に水を差し、景気後退でかえって税収を減らしかねないと強く警鐘を鳴らしました。
増税以外のあらゆる選択肢を追求しよう
結局、自民党においては、萩生田政調会長が、「年明け早々にも、増税に頼らない財源についての議論を(税制調査会の上位機関である)政務調査会で行う」ことで党内議論の引き取り事態を収拾したのです。今後は、通常国会における与野党の議論と党内論議を連動させながら、持続可能な防衛費増額(GDP比2%程度)を支える安定財源の確保と経済危機突破のための財政・金融政策とをバランスさせる“現実解”を追求していくこととなりますが、私もその議論の先頭に立ってまいります。
【 参考までに、防衛財源についての私の考え方は、・・・・倉山満YouTube(チャンネルくらら)「緊急特番 どうなる防衛増税?」
URL https://www.youtube.com/watch?v=JV4TATcMqOQ 】
予算倍増で、こども達の未来保障を拡充
喫緊に財源が必要なのは、防衛力整備だけではありません。私が取り組んできたもう一つの課題である「こども達の未来保障」のための予算も倍増しなければなりません。
現状GDP比1.7%のこども予算をOECD平均の3%に近づけるのです。今年の4月から「こども家庭庁」が始動します。これまで、厚労省、文科省、内閣府に分散していた“こども政策”機能を同庁に統合し、政府、自治体、民間が一体となって、こどもと子育て家庭を全力でサポートする仕組みをつくり上げるのです。
こども予算の財源は「こども国債」で
不妊治療に加え出産も保険適用とするほか、児童手当の増額、幼児教育・初等教育に続き高校の完全無償化(所得制限の撤廃も!)、大学・大学院・専修学校生に対する給付型奨学金の拡充、既存の奨学金の返済猶予、さらには、児童相談所の増強、ネウボラの整備、多様な働き方のニーズに応える「みんなの保育園」の実現、こども食堂やこども宅食支援などなど、政策・制度総動員で子育て環境を劇的に変えるための財源を捻出しなければなりません。そのためには、10年で50兆円の「こども国債」を発行するのです。現役世代にいま投資することによって、こども達が成長し税収として“お釣り”が来ますから、国債発行に十分な正当性があるはずです。防衛力整備を歳出改革で乗り切りつつ、こども財源は10年間の集中投資でこの危機を突破しようというものです。
たしかに安全保障も未来保障も戦後最大の危機に直面していますが、この危機を正面から捉え、未来に向かって思い切った投資を行い日本再興のチャンスに変えていく、今年はそんな一年にするべく全力を尽くしてまいります。
衆議院議員 長島昭久 拝