侵略や核の脅しに対し国際正義を示したG7広島サミット
ロシアによるウクライナ侵略の暴挙が続く中で迎えたG7広島サミットは、ゼレンスキー大統領が戦時下の祖国を離れ電撃参加するなど、歴史的に意義深い首脳会議となりました。
とりわけ、ロシアの核恫喝が繰り返される中で、原爆の爆心地広島において、「核の脅威なき世界平和」という国際正義を、先進7か国のみならず、豪州や韓国といった同志国はじめインドやインドネシア、ベトナム、そして太平洋諸国フォーラムの議長国クック諸島などグローバルサウスを代表する各国首脳の間で共有し、世界に向かって発信できたことは大きな成果です。
法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜く
今回のG7広島サミットの最大のテーマは、中露を枢軸とした「力による一方的な現状変更」の挑戦から国際秩序を守り抜くことでした。
その目標を実現できたのは、昨年末の安全保障3文書によって我が国の戦後防衛政策を大きく転換し、日米同盟を中心に抑止力・防衛力の抜本的な強化を図る政治決断を行うことによって、議長国・日本が確固たるリーダーシップを示すことができたからだと考えます。
強固な抑止力を基盤に、インドや豪州を巻き込んだ「クワッド」の連携、日米韓の協力、グローバルサウスとの協調を推進する戦略的な外交を展開することができたのです。
私は、安全保障のエキスパートとして、また、超党派人権外交推進議連の会長として、引き続き責任ある日本外交の推進のために全力を尽くしてまいります。
終盤国会に残された3つの課題
その中で、終盤国会の重要課題を3つ挙げたいと思います。第一に、防衛力強化のための基金を創設する「防衛費増額財源確保法案」の早期成立です。第二に、こども政策推進のための財源確保です。第三に、憲法審査会の審議促進です。
防衛財源に増税は不要
冒頭に述べたように、力強く戦略的な外交を推進するためには、その基盤としての防衛力強化が不可欠です。とりわけ、財政的な裏付けを明らかにし国民の理解を得ることは政治の責務です。
その際、自民党内でも未だ決着を見ていませんが、安易に増税に頼るべきでないというのが私の基本的スタンスです。たしかに、防衛力強化についての国民的コンセンサスを得るためには、広く税負担をお願いするのが筋との意見にも一理ありますが、「財源イコール税負担」というのはあまりにも短絡的です。
とくにコロナ禍のどん底から懸命に立て直しを図っている国民経済に増税の冷や水を浴びせるのは無責任の極みです。
歳出改革や特別会計剰余金の活用など財源は十分手当てできますから、今回の財源確保法の制定を通じ政府の真摯な努力を促し、税負担を最大限圧縮するよう同志の皆さんとさらなる努力をいたします。
異次元の少子化対策には「こども国債」で
つぎに、異次元の少子化対策のための財源確保です。現状、我が国のこども子育て予算は、OECD諸国の平均値よりも少ないことが知られていますが、それを数年かけて倍増しようというものです。
昨年の出生数が、予測よりも8年も早く80万人を割り込んでしまい、抜本的な子育て政策により出産や育児をめぐる経済的不安や心理的負担を極力解消することが急務です。それには相応の財源手当てが必要となりますが、ここでも税負担か保険方式かという二者択一の議論に陥る傾向があります。
私は、ここは思い切って、一部野党からも提案されている「こども国債」を発行し、最も深刻といわれる向こう10年間を子育て集中投資期間と位置付けて、政策を総動員すべきだと考えます。
今後は、4月に立ち上げた子ども家庭庁を司令塔に、秋の「こども政策大綱」の策定に合わせ、国民の皆さんが将来世代のために気持ちよく応援できる環境整備に尽力してまいります。
そろそろ憲法改正に国民の声を反映させよう!
第三は、長年の懸案である憲法改正問題です。私も前国会までは衆議院憲法審査会の委員でしたが、憲法改正を議論することすら反対の共産党や立憲民主党によって、憲法審査会が定期的に開催できない異常な事態が続きました。
しかし、最近になって、日本維新の会や国民民主党が理解を示し、とくに大災害や戦争などによって国会そのものが開けないような深刻な危機に対応するための「緊急事態条項」が現憲法に欠落していることへの問題意識が広く共有されるようになりました。
もちろん、私自身は、理想と現実の乖離によって空洞化してしまっている憲法9条の改正こそ喫緊の課題だと考えますが、まずはコンセンサスを得られる緊急事態条項から国会の発議を行い、国民の議論を喚起していくことが緊要ではないでしょうか。
いずれにせよ、今国会は、私が委員長を務める東日本大震災復興特別委員会での審議も含め、最後まで緊張感をもって「未来に誇れる日本」のために全身全霊を捧げてまいります。