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「私たちは家族じゃない」【36歳のLOVE&SEX】#9

2021.05.14 Vol.web Original

 

 実はコラムやTwitterには書いたことがなかったのだが、約10年付き合っている彼氏がいる。

 友達や一緒に働く仲間はもちろん知っているし、聞かれたら「いる」と答えるし、不倫関係のように知られては困る関係というわけでもない。

 なんとなく、「田口桃子」には彼氏がいないほうが面白いであろうと思ったから、言う必要はないと考えていたからだ。

「田口桃子」って、欲求不満で、いつも何かに怒ってて、打倒男!みたいなスローガンを掲げてて…というキャラだよなと思ってるんだけど、それに合わないと思ったので、言わなかった。

 しかし、「36歳のLOVE&SEX」というタイトルで、結構核の部分に関わってくるであろう彼氏のエピソードが全く書けないというのは、いまいち本音を隠しているような気持ち悪さがある。

 全く書かずにこの先も書いていくには辻褄が合わない部分も出てくる。
だから、今回から彼氏のことも書いてみようと思う。

 

 世の中的には、結婚していれば夫、旦那、そうでなければパートナー、とかいろいろな呼び方があるかと思うが、私たちの関係性で言えば、もうこれは「彼氏」「彼女」が一番しっくりくるように思う。

「10年も付き合っていたら結婚はしないの?」と聞かれることはよくあるのだが、結婚はしない。

 これは彼氏の意志が強い。彼氏はバツイチであり、いろいろな手続きを考えると面倒くささが勝つということと、二度目の結婚をすることの意味を見出せないとのこと。

 

 最初にそれを言い渡された頃、まだ私は20代後半だったので、「結婚を考えてくれないなんて彼は私のことを愛していないのでは……」と悩んだりもしたし、婚活をしようかとも思ったのだが、じゃあ自分は何のためにどんな結婚をしたいのかと考えると、周りがしてるからしなきゃとか、大人なんだから身を固めなきゃとか、そういう体裁を気にしてのことだと気付いて、やめた。

 そもそも結婚という契約で、相手の心や将来を縛れるわけではないし、自分の幸せが保障されるわけでもないし。

 逆に、あのときそれに気付けたのはとってもラッキーだった。

 

 私たちは、結婚はしていないが、仲良くやってるし、別に何の問題もない。

 ただ、ひとつだけもやっとすることがある。

 それは彼の子どもたちのことに関してだ。

 彼には私と付き合う前から、何人か子どもがいた。一番大きい子はもう成人して家を出ているし、一番小さい子はまだ小学生で母親と一緒に暮らしている。

 私と付き合う前の話だし、子供や母親に会うこともないし、普段は何とも思わないのだが。

 

 そんな彼の家族の存在を意識させられたのは、コロナ禍だった。

 コロナ禍で私は彼氏となかなか会えなくなった。

 だって、「彼氏」だから、「彼氏」でしかないから。

 私たちは一緒に住んでいるわけでもなく、婚姻関係もない。

 一度目の緊急事態宣言のとき、よく、家族以外とは会食を控えましょう、と言われていなかっただろうか。

 私たちは「彼氏」と「彼女」でしかなく、家族ではないので、会食も控えなければならない。

 そのくらいの弱い関係性だったのだ。

 

 ところが、彼の子供たちは「家族」だから彼と会うことができる。

 そりゃ、小さい子もいるのだから、育児を手伝うのは当然だ、彼だって自分のかわいい子には会いたいだろう。

 

 でも、結果、私だけが損してるような気がして、めちゃくちゃ腹が立った。

 結婚しなかった私が悪いのか、無理やりにでも子供を産んでおけば育児にかこつけて彼を会いに来させることができたのか(言い方が悪いのはわかっている)。

 血のつながりがあるから家族で、血のつながりがないから家族じゃなくて。

 それは仕方のないことだとわかっているが、いちいち私と彼の分断を思い知らせてくる政府広報にまでイラついた。

 家族って、同居って、そんなに偉いのか?

 

 ヘビースモーカーで野菜嫌いの彼氏は、絶対に長生きできない。

 自身の父親と同じく、咽頭がんあたりで死ぬと思う。それもそう遠くない未来に。

 

 だが病床に私は立ち会えないかもしれない、だって家族じゃないから。

 36歳ともなると、ひとつひとつ、「その時」の覚悟を意識しながら生きざるを得ない。

 彼が先に死ぬかもしれない覚悟、そのときに看取れない覚悟、葬式に参加できないかもしれない覚悟。

 これが結婚しないで生きるということだ。

 家族のしがらみから解き放たれることで、諦めなくてはいけないものたち。

 これが私の“愛”だ。

「逆襲のフェムテック」【36歳のLOVE&SEX】#7

2021.04.09 Vol.web original

 私の仕事のことを知っている仲の良い友達には、誕生日プレゼントはアダルトグッズやデリケートゾーンケア用品を送っている。

 先日も友達の誕生日があったので、何度か行っているアダルトグッズショップに行った。

 ちょうど最近、TENGA社の女性向けブランドである「iroha」の新作が出たばかりだったので、それにしようかなと思っていた。

 3月に出た新作のiroha petit(イロハプチ)は、使い切りの非振動アイテム。SHELL・PLUM・LILYと形の違う3種類があって、1個630円。安い!

 プレゼントに630円は逆に安すぎると思って3種類全部買った。ついでに自分用にもひとつ買った。

 

 家に帰って使ってみたのだが、開封したあとの写真がこの記事の上にあるもの。

 薄い乳白色のゼリーのようなこれが本体である。

 このゼリーのようなものに短いスティックがついていて、それを指で挟み、本体を身体に当てて使う。

「ぷにぷにして舐められてる感じなのかな?」と想像していたが、思ったよりも固めで、それほどぬるぬるするわけではなかった。

 アダルトグッズ上級者の私にとっては、正直ちょっと物足りなかったかな…。

 

 でも、この価格帯とデザインは、多くの人のアダルトグッズ(iroha流の言い方だとセルフプレジャーアイテム)に対する心理的ハードルを下げることができると思う。

 特に価格は、今回の私のようにプレゼントするにもちょうどいい安さ。

 ほかにも、パートナーと使うにも役立つと思う。使い捨てで清潔に使えるし、たとえば相手が爪を切ってない時に「これ使って」と言えば、相手を傷つけないし自分も傷つかない。

 

 話は変わるが、同じく3月にGUから「トリプルガードショーツ」という商品が発売された。

 この商品は吸水ショーツと呼ばれるジャンルのもので、生理用品としても使うことができる。(尿漏れにも使える…世代関係なく全女性に役に立つのは素晴らしい)

 女性の生理用品は、テレビCMでもやっているような使い捨てのナプキンが一般的だが、数年前から洗って繰り返し使える布製のナプキンも手に入りやすくなったし、膣内に入れて経血を溜めて使う月経カップというものもある。

 吸水ショーツはショーツ自体が経血を吸収するので、頻繁に取り換えなくていいし、量が多いときは月経カップやタンポンなどと併用して、モレの心配も軽減できる、らしい。

 らしい、というのは、実は私もこれまでこの吸水ショーツというものを使ったことがなく、このトリプルガードショーツが初めてだからだ。

 

 私は4年くらい前から布ナプキンを使用していて、繰り返し使えるからゴミも出ないし定期的に買い足す必要もなく、何より肌が荒れないのが気に入っている。

 自分に合っているのでほかのアイテムに変える必要はないと思っていたのと、吸水ショーツは一枚あたり5000~6000円するものが多く、いきなり買うのは勇気がいる商品。

 

 ところがこのトリプルガードショーツは1490円、普通のショーツとそれほど変わらない価格だ。

 というわけで早速購入して、生理の終わりかけの頃に使用してみた。

 量が少ない時期だったので、吸水やモレは検証できなかったが、普通のショーツを使うよりも安心だし、手間が全然違う。

 正直、お尻に当たる部分の縫製に違和感があり、「厚いものを履いてるな」と少し不満は残った。

 しかしこの安さで、全国どこにでもあるGUで買えるのが非常に便利だ。

 

 iroha petitもトリプルガードショーツも、それ自体が抜群に優れている!とは言い難いというのが私の感想だが、女性の身体のこと、健康のこと、性のことについて、多くの人が心理的にアクセスしやすくなったという点で画期的な商品だと感動した。

 この1~2年でフェムテック、いわゆる女性が抱える健康上の課題を解決する商品やサービスの市場が盛り上がっているとは言っても、まだフェムテックという言葉になじみがなかったりするし、言葉の印象だけで「難しそう」「ついていけなそう」と思ってしまう人もいるかもしれない。

 私自身もそうで、興味がある分野ではあるが、意識高い人にしか関係のない話題のような気がして、ここであげた商品に出会うまで、自分には関係のない話題だと思っていた。

「番外編 女性向け風俗店キャストへインタビュー」【36歳のLOVE&SEX】#4

2021.02.26 Vol.web original

 前回、女性向け風俗店studioCH(スタジオシーエッチ)のキャストである、横山ダイキさんのインタビューを掲載した。

 女性向け風俗というサービス自体を知らなかったというお声もいくつかいただいたので、今回は番外編として、女性向け風俗と、それからstudioCHについて少し書いてみようと思う。

 そもそも女性向け風俗とは。

 女性のもとに男性キャストが派遣され、マッサージや性感マッサージ、手や舌やアダルトグッズ(お店によってはオプションの場合もある)を使って性感帯への愛撫を行う、というのが基本的なサービス内容だ。

 男性向けのデリヘルと同じく、本番行為(挿入行為)はない。

 前回の横山ダイキさんのインタビューにもあったように、女性の場合、性的な快感はもちろんのこと、精神的満足を求める方も多く、プレイだけでなく会話やデートを楽しむ目的で利用される方もいるようだ。

 そして、女性向け風俗店studioCHは、ソフト・オン・デマンドグループが2020年にオープンしたお店。

 映像制作のノウハウを生かしつつ、AVの要素を取り入れたシチュエーションプレイ(ドラマチックコースと言います)にも力を入れている。

 studioCHでの基本コースは120分2万2000円。

 お店によって多少価格は違うものの、女性向け風俗の相場としては120分2万円~2万5千円程度だろう。

 調べてみたが、男性向けの風俗のように45分や60分などの短いコースを用意しているお店は、ほぼない。

 studioCHの場合、はじめてお店を利用する方にも手頃な90分1万5000円というコースもあり、リピーターのお客様からは150分や240分などの長めのコースも人気だ。

「選ばれる性から選ぶ性へ」【36歳のLOVE&SEX】#3

2021.02.12 Vol.web Oliginal

 この数年女性向けの性産業に携わってきて最も感じるのは、女性が「選ばれる」性から「選ぶ」性へ変わってきたということだ。
 なにより、その方向へ変わりたいという意識の広がりを強く感じる。

 あえてここで書くまでもなく、これまで日本社会では、女性は結婚して家庭に入るのが幸せという価値観が強く根付いていた。

 そのために、おしとやかにしろとか、でしゃばるなとか、上品な立ち居振る舞いを求められることも多々あった。

 家庭にとって都合のいい嫁・母・娘であることを求められてきたのだ。

 だが近年、女性が社会で活躍できる場も増え、社会的にも経済的にも自立した生き方ができるようになりつつある。

 女性の自立については、アダルト業界も大きな影響を受けているように思う。

 女性向けAVが受け入れられ始め、女性向けのアダルトグッズも様々なデザインや用途、コンセプトのものが生まれている。

 女性向けの風俗もこの数年盛り上がりを見せ始めている。

 これらはいずれも、女性が自ら選択し、お金を払って価値を享受するサービスであり、社会的、経済的な自立はもちろん精神的にも自立しつつあることの証だと言えると思う。

 では、実際にはどのような女性がそういったサービスを利用しているのだろうか。

 女性向け風俗の現場で働くキャストに、お客様と触れ合う中で感じた女性の性に対する向き合い方について探るべく、話を聞いてみた。

 話を聞いたのは、SODグループで運営する女性向け風俗店「studioCH」でキャストとして働く横山ダイキさん。

 店舗オープン時から在籍し、ランキング制度が導入された8月からは6ヶ月連続してNo.1を獲得している。

「ときめきがなくても生きていける?」【36歳のLOVE&SEX】#2

2021.01.22 Vol.Web Original

 この間、同級生である友人に会った。

 年に一回くらいしか会わないが、普段はSNSでゆるくつながっている。

 互いに結婚をしておらず、映画が好きで趣味を持っているというところでシンパシーを感じる友人だ。

 友人は年末から婚活を始め、もう十人以上の人と会っているらしい。

 しかし、どうもしっくりくる相手がいない。

 悪い人ではないが、これから生活をしていく上で適しているかどうかを考えると、いまいち気乗りする相手がいないようだ。

 寂しい人生を避けたいからパートナーを見つけたいらしいが、正直なところ、今の生活で結構満足しているし、無理したり自分のペースを崩したりしてまで恋愛や結婚がしたいわけでもない、ということなのだと思う。

 10代・20代の頃には、恋した相手のことを強く思い焦がれたり、結婚を夢見たりしたことはあるが、30代になると色々なものが手に入って、恋愛のときめきがなくても生きていけるようになった。

 例えば仕事で責任あることを任せてもらえたり、収入が増えて買えるものややれることが増えるなど、年齢を重ねたからこそできることがどんどん増えてきて、楽しくなる。

 それに、以前はなんとなく人に良く見られたいという思いもあったが、いつの間にか、他人がどう思おうと自分が楽しいと感じられることが最優先、という風に気持ちが切り替わっていった。

 ステータスの高い男性に選んでもらいたいとか、同世代の女性よりも幸せな恋愛や結婚をしたいとか、漠然とあった浅ましい望みも最近は消えていったように思う。

 そういう気持ちになっていったきっかけがあった。

 私が30代になってハマったもののひとつが、女性向け風俗だった。

 使い始めたのは3年前になるが、最初は「お金を払えば性欲と承認欲求が満たされる、なんて私に都合のいいサービス!」と思って、お金を介しての関係でしかないのに、担当キャストに依存してしまい苦しんだのだ。

 でもある時、当時指名していたキャストに「そんなに金使ってないじゃん」と言われて、一気に現実に引き戻された。

(確かにそんなに金額は使っていなかったのだが……正直これは超失言だと思うし、人によってはすごく傷つく発言だから、もしこれを読んでいる女性向け風俗店キャストがいたら絶対に言わないでほしいのだけど。)

 私はこの一言で、自分がお金で彼を支配しようとしていたことに気付いた。

 私が払っているお金は、あくまでサービスに対する対価であって、人の心を束縛するためのものではない。

 自分自身のことを、なんと浅ましい人間だろうと思うと同時に、サービスをはき違えていたんだなと自覚した。

 そして何よりも、自分自身が楽しめていないことに気付いた。

 この一件から、少しずつ物事の優先順位が変わっていった。

 何か起こるたび、「私の気持ちはどう?」と自分に問いかける。

 こんな簡単なことが、30代になってからようやくできるようになった。

 いるかもわからない「誰か」の評価を気にして自分のあるべき姿を決めて、無視された本当の私はずっと苦しかった。

 それをやめて、自分が一番に楽しむことを最優先しよう!という気持ちが自分の中で育ってきたように思う。

 だから、どんなことにもときめくことができるし、そうなってからすごく生きやすくなったような気がする。

 ところで、女性向け風俗の話をしたので、少し紹介させてほしい。

 SODグループでは2010年前後から女性向けアダルト市場の拡大に取り組んできた。

 私も2013年から女性向け動画サイトGIRL’S CHの立ち上げに7年間携わってきたが、スタート時には少なかった作品数も何百という数に増え、動画だけでなくアダルトグッズの販売やイベントの開催なども行ってきた。

 それらは、女性にとって性を楽しむ選択肢を広げるものだと考えている。

 そして新たな選択肢として、昨年から弊社では、女性向け風俗の事業を始めた。「studioCH(スタジオシーエッチ)」という。

 女性向けAVの出演者と会えたり、動画コンテンツに力を入れたり、GIRL’S CHで得たノウハウも生かされている。

 昨年末にはGIRL’S CHとコラボし、会員の方(実は40万人もいらっしゃるのです)にご協力いただいてアンケートをとり、ドラマチックコース、いわゆるイメクラのコースを今年から新たに始めた。

 今年はその事業を、もっと多くの女性に知っていただけるといいなと思います。

「バリキャリでもママでもない曖昧な人」【36歳のLOVE&SEX】#1

2021.01.08 Vol.Web Original

 あけましておめでとうございます。

 昨年は働き方をテーマに1年間試行錯誤してきましたが、部署異動や担当変更もあり、今おかれている状況とテーマにズレを感じたので、今年は自分自身として、アダルト業界に身を置いているからこそ感じたこと、考えたことを表現していきたいと考えています。

 といっても、堅苦しく何かを論じたいわけではありません。

 日常で感じるちょっとした違和感を、アダルト業界しか知らないちょっと世間知らず(アラフォーに対してこの言葉を使うことに狂気を感じますが)な人間が思ったことを書いていくことで、見える世界もあるのではないかな、と。

 連載タイトルも一新して、あえてちょっとダサい感じで手広くやっていきたいと思います。

 早速ですが、毎年年始になって思う、年賀状について。

 頂く年賀状で、毎年大きくなる子どもの写真を確認したり、家族が増えただの、家を買っただの、犬を飼っただの、目に見える資産を着実に築いている友人たちの姿を見ると、「すげえな」と思います、これは皮肉ではなく。

 だって、ひとつひとつ積み重ねたそれらのものは、簡単に手放せるものではないのですから。

 人の命を預かる責任や、家族という共同体を一緒に生きるという覚悟、また、そういった精神的なものではなくとも、家や車のローンだってあるでしょう。

 そのどれも、逃げようと思っても逃げられません。

 そういうのしかかるものを振り切って、ふわふわ逃げて生きることを選択した人間にとっては、尊敬でしかないです。

 同じ36歳でも、私のように独身で子供もおらず、楽しく孤独に趣味や仕事にいそしむ人間は、どちらかというと少数派に分類されます。

 なので私のような人間が、肩身が狭いなと感じることは仕方ないとは思います。

 とはいっても、法律や社会に邪魔されているわけでもなく、出会いや恋愛のチャンスがないというわけでもなく、ただ興味がないから結婚していないだけ。

 マジョリティでもなくマイノリティでもない自分の足元がすごく曖昧に感じることがあります。

 何か自分の生きる目標とか指標になるものはないかと、ネットの記事や雑誌を見てみると、30代後半の女性は仕事で大活躍して社会から認められている「キャリアウーマン」か、子育てや家事にと大忙しな「ママ」という扱いに分類されることが多く、自分がスコンと穴に落ちたような居場所のなさを感じるだけでした。

 でも、適度に仕事をして、生きがいがあって、仲間がいて、マイペースに生きるという生き方をしている女性は、私の周りには結構多いのです。

 もちろん類は友を呼ぶということもあるかもしれませんが、どこかの誰かに向けていろんな方向に発信されるメディアよりも、自分の身の回りの目で見て体感できることのほうがよっぽど信頼できる情報だと信じたい。

 私のような「曖昧な人」は確実に存在しているはずなのです。

 私は今35歳、今年の3月で36歳です。

 20代後半に漠然と降りかかってきた「もう自分は若くない」という恐怖と闘って数年。

 30歳を過ぎたら「アラサー」という言葉で年齢をごまかしていたものの、もう昨年からその言い訳も言えなくなってしまいました。

 だって「アラフォー」なのだもの。

 怒られるのを承知で言いますが、20代の私はアラフォーなんておばさんだと思っていました。

 おばさんだから、おしゃれしたり、騒いだり、性や愛に一喜一憂するなんて恥ずかしい、大人げないとすら思っていました。

 そういう大人にならないように、若いうちに精一杯はしゃいで、遊んで、後悔のないイケてる大人になることを目標としていた時期もありました。

 でも実際に自分が30代後半になってみて、20代の頃と大きく変わったことって、精神的にはほとんどないような気がするのです。(肌のハリとか、疲れがとれないとか、肉体的なことはありますが)

 もちろん、後輩がたくさんできて、多少は責任感とか思いやりを持ったり成長した部分もあると思うのですが、好きなものに対して我慢できない性格や、これだと思うとなりふり構わず振り切ってしまう性分は、むしろ加速しているように思います。

 性や愛についても、この仕事をしているおかげで様々な知識が増えました。

 最新グッズの情報、困りごとや悩みごとへの対処方法、性風俗についての知識、女性がどんなことで悩んでいるか、いろんな愛の形やパートナーとの関係性など、知れば知るほど世界が広がるばかりです。

 だからこそ、夫婦間の悩みはセックスレスと妊活だけではないし、恋する気持ちや性欲は年齢や立場とは関係ないということを改めて思います。

「キャリアウーマン」にも「ママ」にも程度の差こそあれ性欲はあるだろうし、でも、それがないとされている今の感じは気持ちが悪い。

 一方で、私のような「曖昧な人」は夫や子供の制約がない分自由になんでもできるかというと、別にそういうわけでもない。

 性教育は若い人だけのものではないし、性風俗は寂しい人だけのものではないし、30代後半以降の女性に向けた情報ってどこにあるの?と余計にドツボにはまってしまうのでした。

 というわけでこれからは、来た道の性でなく、これから行く道の性について、考えて書いてみようかなと、思ったり思わなかったりしているので、これを読んで一緒に考えてくれる人が一人でも増えるといいなと思います。

 今年もよろしくお願いいたします。

「意志を持つ」【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#23

2020.12.11 Vol.Web Original

 2021年の浅草サンバカーニバルが延期されることが発表された。

 毎年8月に開催され、50万人もの観客が訪れるイベントだが、2020年は東京オリンピックの関係で9月に開催される予定だった。

 しかしコロナウィルスの感染拡大に伴い2021年9月に延期され、さらに今月1日、2021年の開催も再延期されることが発表された。

 我々サンバ愛好家は、丸3年サンバカーニバルができないことになる。

 過去にも2011年の東日本大震災の際に一度延期になっているが、2012年には再び開催されたので、こんなにも長い間浅草サンバカーニバルが開催できないのは、私のサンバ人生でも初めてだし、日本のサンバ史でも初めてのことなのではないかと思う。

 以前記事でも書いたのだが、私は2010年から趣味としてサンバを楽しんでいる。主にダンスを踊る。ほかにもブラジル音楽を聴いたり、以前はライブに行ったり、ブラジルの料理を楽しんだり、ポルトガル語も少し習った。

 浅草サンバカーニバルにも2010年から毎年出ていて、その10年間でサンバを踊って感じたことを文章にした。

時間という自信【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#6

 この記事を書いたのは今年の3月、まだこのあと世の中がどんな風になっていくか、全く想像をしていなかった。

 浅草サンバカーニバルができなくなるばかりか、チームの練習のために集まることもできなくなるとは、誰が予想しただろう?

 これまでは、チームに所属していなくても、踊る場所なんていくらでもあると思っていたし、いつまでも踊り続けることができると思っていた。

 諦めないで努力を重ねれば、もっと上手になれたり、もっといろいろなところで踊ることができたりするのではないかと思っていた。

 まさか、自分の努力や意志と反して、踊ることができなくなるとは思いもしなかった。

 自分が当たり前だと思っていたことは、実は蜃気楼のように儚いものだったのだなぁ。

 頑張るとか、やる気を出すとか、こちらの出方次第で将来がなんとでもなると思ってしまっていた。自分が選択肢を持っているように勘違いしてしまったのは、人間の傲慢さなのだろうか?

 今いる現在地と理想は地続きで、ひとつひとつ前に進めばいつか叶うというのは、必ずしもすべてにあてはまることではない。

 たとえば、どれほど努力を重ねても、日本人の私がブラジル人になれることはない。そういうどうしようもないことだってある。そんなことがたくさんあったのがこの一年だったのではないだろうか。

 だからこそ、人の生きる意志が、人間の原動力になるのだということを、改めて感じられた一年だった。

 浅草サンバカーニバルだけでなく、いろんなイベントも、仕事の進行も、個人的な旅行の予定も、何もかもがうまくいかなかった2020年だからこそ、ちゃんと「生きよう」と思わないと暗闇に引きずり込まれてしまいそうだ。

 安易に「ポジティブに前向きに!」と言えるほどの若さや明るさはないが、踊るとか書くとか歌うとか、不器用にしか世界とつながった気持ちになれない皆様、お互いどうか無事に2021年を迎えられますように。

 いちサンバ愛好家として、2021年以降の浅草サンバカーニバルが開催できるかどうかも気になるところだが、サンバの本質はイベントの開催だけではないので、これからもいち素人ダンサーとして踊り続けたいと思います。

「結婚しない選択を否定することは」【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#22

2020.11.27 Vol.web Original

 他人に言わせると、私は本当に人を愛したことがない、らしい。
「何もかもを投げ打って一緒にいたい。」
「何もかもどうでもよくなるほど相手のことが好き。」
 そんな気持ちを味わったことがないままに、結婚しないことを決めるなんて、おかしい。
 11月の頭に私は、かつて深い関係にあった男性にそう言われた。

 皆さんは結婚についてどう考えているだろうか。
 私は自分の人生には結婚は必要ないと思っている。
 本当に大切な人とは結婚しなくても一緒にいるだろうし、一緒に住むとかの物理的な距離感と精神的な距離感は別だと思うから、大切なパートナーとの将来を誓うという意味は結婚にはないと考えている。
 加えて、仕事や趣味や考えたいことがたくさんあるので、結婚するかしないかで迷ったり、結婚の条件に合う相手を探す時間がもったいない。
 端的にいうと、これらの理由から、自分は結婚するという選択肢を捨てた。

 もし婚姻届けが契約書だとしたら、そこに書かれている項目が、人によって大きく異なる、または、だいぶ曖昧なのも気になる。
 結婚をしたほうがいい、結婚をするべきだ、なんで結婚しないの?
 そこでいう“結婚”という言葉が一体何を指しているかがぼんやりしているうちには、その答えは出せない。

 婚姻届けが業務委託契約書の意味をもったものなのであればきっと、一人だけで生きるよりも、二人でできることが増えて、人生の可能性も増えるのだろうな。
 反対に、婚姻届けによって自分の人生の全部もしくは一部の権利を相手に譲渡するような内容であれば、もったいないなと思う。
 そんな契約書ひとつで、お互いに対する気持ちが変わらないことを表明するというのは、なんだかむなしいような。
 他に好きな人ができるということもあるかもしれないし、例えば予期せぬ事件や事故をきっかけに気持ちが変わっていったり、仕事の変化で家庭に対する気持ちが変わっていったりというようなことは容易に想像できるので、やっぱり人と人とは、向き合って一瞬一瞬を積み上げていくことでしか関係性は積み上げられないのではないか。

 とはいえ、友人の結婚を素直に喜ぶくらいのまともな感覚は持ち合わせている。
 私の周りではこの一年くらい、仲良くしている人が何人か結婚した。
 コロナ禍で云々ということではなく、長く付き合っていた人とたまたま今年そうなったパターンが多く、とても喜ばしいことだ。
 友人の決定は友人自身のものだし、それを彼ら・彼女らが決断したことはとても尊いことだと思う。

 さて、冒頭の話に戻る。
 そんな風に私が結婚について難癖をつけるのは、本当に人を愛したことがないから、だそうだ。
 結婚によって良い方向に変わることもある、ずっと愛し合える可能性もある。
 それなのにその希望を最初から諦めるのは、ただの臆病だと言われた。

 君はかわいそうな人生だ、もっと真剣にパートナーを探すべき、と言われて思わず、「私の人生の責任とるつもりもないのに、そんなこと言わないでよ!」と怒鳴ってしまった。
 どんなドラマだ。
 ドラマならここで、「結婚しよう」となるのかもしれないが、我々は今やそんな関係ではないし、やっぱりコイツのこと嫌いだわと強く思っただけで、何のロマンスも始まらなかった。

 Twitterでも別の人にこんなことを言われた。
 前回性的同意について触れた際、記事に紐づけてTwitterで、「同意を取ろうとして萎える相手であれば私とは合わないだろうし、我慢する必要はなかった」という主旨の呟きをした。
 それに対して、幸せな家庭が想像できないかわいそうな人、本当に人を愛したことがない人は何を言ってもだめ、というコメントをいただいて、ショックだった。(現在は削除済み)

 私が人を愛してないと、どうやって測るのか?
 結婚しないからと言って、家庭をもたないからと言って、なぜ本当に人を愛したことがないと言えるのか?
 結婚しない選択、子供を産まない選択をすることは何かおかしいのだろうか。
 仕事をして、恋をして、表現をして、人生それ以外は、高望みする必要はないというのを決めるのは、おかしいだろうか。
 それほどに、結婚は、家族は、良いものだろうか?
 寂しい時に寂しいと言える友達、一緒に趣味を語り合って楽しみあえる仲間、愚痴や迷いを言い合える相手がいれば、私には十分なのだが。

 結婚するタイミングがなかったわけでもなかった。
 もう十年以上も前だけど。
 同棲もしたし、親に挨拶にも言ったし、結婚する予定があった時期もあった。
 でも私は気乗りしなかった。
 最終的にはそれに気が付いた彼が、私のもとを離れていった。

 そうだね、私は彼を心の底から愛していなかったのかもしれない。
 自由と、孤独と、あと彼よりも少し仕事のほうを愛していた、と今になって思う。

 婚活とか、転職とかして、一度今の環境をすべて変えてみたほうがいいのだろうか?
 自分が置かれてる世界がおかしいから、なんだか他人から見て「足りない」ように見えているのかもしれない。
 自分のいる環境を最大公約数的なマトモなものにしたら、誰かから太鼓判を押してもらえる私になれるかもしれない。

 書いててくだらなさすぎて反吐が出そうです。
 太鼓判なんていらないので、引き続き自由と孤独と仕事を心から愛して生きていきます。

「私たちのことは放っておいて」【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#21

2020.11.13 Vol.web Original

性暴力と聞いて、どんなものを思い浮かべるだろうか。
私は、思春期の頃にドラマの中で見たショッキングなシーンが思い浮かぶ。
人のいない薄暗い橋の下で、女性が押し倒され無理やりに……というような、あまりに暴力的で理不尽な出来事というイメージだ。

しかし最近は「同意ない性行為は性犯罪である」という考え方が広まり、勇気をもって声をあげる人も増えてきた。
そういう声を聞いて、「あのときのアレは今思えば性暴力だったのでは……」という思いを抱いた人は男女ともに少なくないだろう。
現に私も、本当は嫌だったなぁと思いながらしていた行為に心当たりがある。

もう何年も前になるが、コンパでずいぶん飲んだ帰り、一緒にタクシーに乗った男性にそのまま家の中まで入られてしまった。
その男性は、やることをやったら連絡先も残さず家を出た。
飲み会の帰りに男性と帰った自分が悪い、家に入れてしまった自分が悪い、抵抗しなかった自分が悪い……なんでもっとわかりやすく大げさに拒絶しなかったのだろうと、怒りでシャワーを浴びながら泣いた。

また別の機会、ホテルまでは合意の上だったが、どうしてもしたくないことを強要されたことがあった。
嫌すぎて風呂場まで逃げたが引きずり出されたときの、相手の男性の目は本当に怖かった。
性的に興奮しているというのではなく、私のことを人として見ていない、ただの自分の欲望を満たすためのモノとして見ている、そんな目は初めてだった。
これが全く何も理解していない子供だったらどれだけ怖いだろうとも思った。

……というようなこと、実は女性にとっては「あるある」かもしれない。
私にとっては、過去のやらかしたエピソードとして、誰かの恋愛相談に乗るときに引き合いに出して「こんなこともあるから気を付けてね!」と後押しをできるくらいの役には立っていると思う。
性に関わる会社に勤めているからこそ、こういう話を面白おかしく話せるようになって、まわりの人のいい教訓にならなければ、と思ったりもしていた。

だが、面白おかしく話す私に、「それ笑いごとじゃないよ、つらかったね」と言ってくれた人がいて、そこでようやく気付いた。
私も結構傷付いていたのだな、と……。
自分がドラマで見知っていた性暴力と比べるとほんのささいなことだけど、気にしすぎだとか私が悪いとか思う人も絶対いるけど、たとえ小さくでも傷付いたことは事実なのだ。

最近Twitterのプロフィールから、会社名や自分の担当していた仕事についての記述を消したのだが、以前はほとんど来なかった知らない男性からのDMが来るようになった。
私はTwitterで、AVや風俗やほかにもエロの話もするので、何も知らない人が私をフォローして不快にならないように、あえてプロフィールにそのことを記載したほうが良いのではと思って、そうしていた。
だが実際にプロフィールを見た男性からは、「セックスしない?」「今度会いましょう!」というような、Twitterを通して性的なつながりを求める女性だと誤解されただけだった。
知らない男性にいきなり下の名前で呼ばれると怖い、というつぶやきをした直後に面識もない人から「桃子さんこんにちは!」というDMが来たときには、何の冗談かと思った。

ああ、女性が性のことを話すのって、こんなに大変なことなんだ……。

性に対して積極的な発言をすれば誤解され、悔しい悲しい思いをしたら我慢しなくてはならず、相談できる場所も少ない。
気になるならTwitterやめればいい、という話をしているのではない。
ひとりの女性が性に関して意見を言うだけなのに、その道のりが遠すぎるということを言いたいのだ。

もし、Twitterやその他SNSで、出会い目的以外で性のことを発信している女性を見かけても、男性の皆さんにはぜひ「放っておいてほしい」。
私たちは独立したひとりの人間として意見が言いたいだけだし、助けが欲しいときは助けてという。
寂しいから、孤独だから、ましてやセックスがしたいから、結婚がしたいから積極的に性の話をしているわけではない。
あなたが(男性であろうと女性であろうとどちらでもなかろうと)女性は男性に媚びなければ、男性の支援がなければ生きていけないと思っているなら、今すぐにその考え方は改めたほうがいい。
余計なお世話も、性的な誘いも、同情もいらない、何の偏見もなく話を聞いてもらいたいだけなのだ。たぶん。

「新しい挑戦へ」【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#20

2020.10.23 Vol.web Original

「働き方」というテーマで書き始めたこの連載も、なんと今回で20回を迎える。

 多少寄り道をした回もあったものの、この一年近く「働くということとは」「仕事とは」ということを考えるいいきっかけになった。

 そんなタイミングではあるが、長年担当してきた女性向けの動画サイト「GIRL’S CH」の担当を外れることになった。
(実はささやかにこの記事のプロフィールも変更済だったりします。)

 担当を外れる理由は単純に、会社での組織変更で、新規事業の立ち上げを担当することになったから。

 本当は4月には異動していたのだが、引継ぎなどもあり、ようやく今の時期になって完全に離れることになった。

 2013年の立ち上げからずっと携わってきたので、正直サイトを離れるのは心苦しい。

 会社員だから会社の指示には従うしかないし、受け入れられないなら辞めればいいだけの話なのだが、そんな簡単に割り切ることもできない。

 気がかりなことも多かったが、新しい事業に専念できるよう心身ともに整理して、ようやくこの一ヶ月程度で心が決まった。

 これまでの8年間を振り返ってみると、しんどい思いをしたこともたくさんあるし、記憶がないくらい忙しかったこともあった。

 まわりに迷惑をかけたし、私のわがままやこだわりでいろんな人に面倒をかけたと思う。

 ただ、ソフト・オン・デマンドの営業部に新入社員として入社して、その後部署を転々としたのち、事務職で毎日ミスなく業務をこなすことが仕事のすべてだった毎日からは考えられないほどの刺激と、素晴らしい経験をした8年間だった。

 たとえば、オリジナル動画「大人の社会科見学」の制作だ。

 現場経験の全くない私が、いきなり動画を作ることになるなんて、入社当時には思いもしなかったし、今周りを見てもこんな経験をした社員はいないのではないだろうか?

 一応大学時代は映画を撮ったり脚本の勉強をしていたので、企画や一連の流れまでは作れたものの、機材のことも出演者との契約の仕方もわからず、制作部の人を巻き込んでというか丸投げして、なんとか撮影を終えた。

 編集も会社の編集部の方にお願いをして、通常業務のあと朝まで時間をいただいて仕上げていただいた。

 当時の関係者には足を向けて寝られない。

 しかしその翌日、作品のプレビューが行われ、「ノリが深夜番組で暗い」という理由で一旦ボツになってしまった。

 ただこれがありがたいことに、結果的に憧れの大先輩が編集の手直しをしてくださり、ポップな作品に生まれ変わり、サイトでの配信にこぎつけることができたのだった。

 この作品をきっかけに多くの人に「GIRL’S CH」を知ってもらうことができ、今でも好きな企画として名前を挙げてくださることがある。
(ちなみに、このシリーズはGIRL’S CHだけでなくFANZAでも配信中なので、男性も女性も是非ご覧ください。)

 これ以降、インタビュアーのような立ち位置で動画に出演したり、Twitterやイベントで「田口桃子」というキャラクターで発言をするという新しい動きも生まれた。

 サイトを代表して取材の対応をさせていただいたり、イベントに出させていただいたりと、広報的な仕事もこのときが初めての経験だった。

 この連載もその一環で始めたものだったので、「大人の社会科見学」という最初の一歩がなければこうして文章を書くこともなかっただろう。

 今こうして新規事業の裏方として仕事をしていると、これまでは「田口桃子」に助けられながら、「田口桃子」に苦しめられてきた部分もたくさんあったということに気付く。

 狭い範囲かもしれないが、情報を発信したり、提案をしたりして、「田口桃子」というキャラクターを作り上げてきたつもりだった。

 Twitterでくだらないことを書いたり、コラムで時にはプライベートなことを書いたりするもするが、それも人間味をもたせる一つの手段であり(成功してるかどうかは別として)、アダルト業界にいる人間も普通の人間なんだと思ってもらうきっかけになればと思って色々なことを発信してきた。

 実際に、作品からではなく私のコラムから、女性向けAVやアダルトグッズ、女性向け風俗の世界を知ってくださったという方や、「Twitterを見て性的なことへの後ろめたさが少しなくなった」と言ってくださる方もいた。

 だから仕事が変わることで、「田口桃子」が頑張ってきた仕事を、これからは引き継げないという悔しさややりきれないなさで、むなしくなった。

 これまでの頑張りがゼロになってしまうと思った。

 だが、これまでも「田口桃子」という名前が頑張ってきたわけではなく、ひとつひとつ経験を積み重ねてきたということが、名前がなくなって逆にわかった。

 私の強みはなにか、自分には何ができて何ができないのか。

「田口桃子」というフィルターがなくなって初めて、自分の本当の力量が見えるようになってきたし、これまでのGIRL’S CHという看板が取り外されてから生まれた結果、得た成果はシンプルに自分の力だという自信にもつながった。

 8年間慣れ親しんだサイトを離れるのはまだ寂しいけど、こうしてまた新しいチャレンジができ、新しい自信を得ていくのはとても嬉しい。

 というわけで、GIRL’S CHからはずれ、それとともにサイト自体のリニューアルも行われました!

 URLもこれまでのgirls-ch.comから、girls-ch.jpへと変更になりましたので、ぜひブックマークの変更をお願いします。

 私はというと、引き続きSODで別のお仕事を頑張っていますので、このコラムやTwitterなどで近況をお伝えしていくことになるでしょう。

 引き続きよろしくお願いします!

新宿・歌舞伎町に誕生した「SOD LAND」は停滞する飲食業界の起爆剤となるか!?

2020.10.09 Vol.web Original

 ソフト・オン・デマンド(SOD)が10月10日、東京・新宿の歌舞伎町に飲食ビル「SOD LAND」をオープンする。

 SODはこれまで、2018年5月に秋葉原に「女子社員酒場」、2019年5月に新中野に「Syain Bar」をオープン。このSOD LANDは同社の飲食店事業の旗艦店となるものでB1階から4階まで計5フロアすべてが異なるコンセプトで展開する。

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