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日々の営みを見つめる絵画の世界、心落ち着く「川瀬巴水 旅と郷愁の風景 」

2021.11.18 Vol.747

 大正から昭和にかけて活躍した版画家・川瀬巴水(1883〜1957)の回顧展。

 近代風景版画の第一人者として知られる巴水は、日本各地を旅しながら、庶民の生活が息づく四季折々の風景を生涯描き続けた。それは近代化の波が押し寄せ、街や風景がめまぐるしく変貌していく時代にあって日本の原風景を求める旅でもあった。

 そんな巴水の版画制作を支えたのが、浮世絵版画にかわる新しい時代の版画《新版画》を推進した版元の渡邊庄三郎。海外にも通用する木版「美」の構築をめざした2人によって生まれた作品は、郷愁や安らぎをもたらす木版画として今なお多くの人々に愛されている。また、旅の情緒にあふれる日本の風景は海外の愛好家も魅了し、欧米でも巴水の作品は今なお高く評価されている。

 同展では、初期から晩年までの木版画作品より、まとめて見る機会の少ないシリーズ(連作)を中心に構成。赤い寺門に白い雪が映える東京二十景《芝増上寺》、富士山と桜、湖の彩りが美しい《西伊豆木負》、つづら折りの山道を行く《塩原おかね路》など、四季折々、日本各地の風景を描いた伝統木版技術を駆使した詩情豊かな版画群を堪能できる。時を超えた旅情に浸ってみては。

節目の年に向けた渾身のラインアップで楽しむ展覧会「生誕150年記念 モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて」

2021.04.17 Vol.740

 2022年に生誕150周年を迎える画家モンドリアンの“知っているようで知らない”魅力に迫る展覧会。日本では実に23年ぶりの回顧展となる。

 ピート・モンドリアンは1872年、オランダ生まれ。1908年に象徴主義の画家ヤン・トーロップに出会い象徴主義や神智学に傾倒。やがてキュビスムに影響を受けパリに移住。その後、モンドリアン芸術を象徴する表現となる、抽象的コンポジション作品を制作する。

 本展では、オランダのデン・ハーグ美術館が所蔵するモンドリアン作品50点と、国内外の美術館が所蔵するモンドリアン作品と関連作家作品約20点を展示。初期の自然主義的な風景画から、晩年に手掛けた、水平垂直線と原色平面で表現されるシリーズ「コンポジション」までを紹介。オランダからパリ、そしてニューヨークへと移り住みながら画風を変化させていったモンドリアンの軌跡をたどる。

 さらに、モンドリアンが主張した理念「新造形主義」に基づき「デ・ステイル」をともに結成したドゥースブルフなど、同時代の作家との交流も紹介。「デ・ステイル」のプロダクトデザインを合わせて、デザイン領域まで広がったモンドリアンの影響に迫る。

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