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AV監督も務めるペヤンヌマキの舞台 第7回ブス会*『エーデルワイス』

2019.02.21 Vol.715

 ブス会*はAV監督も務めるペヤンヌマキが舞台作品を上演するために立ち上げたユニット。劇団員を持たずに作品に合わせ、その都度メンバーを集めるというスタイルを取る。

 今回は「ミューズ募集」とうたったオーディションに鈴木砂羽が現れ、見事主演の座を射止めたという。

 今作は現代を生きる女性のためのおとぎ話。過去の自分を認め、和解するという普遍的なテーマを、過去と現在を交錯させながら描く。

 主人公はスランプに陥っている漫画家、森アキナ、43歳(鈴木砂羽)。 自身の代表作「たたかえ!いばら姫」以降、ヒット作を出せずに苦しんでいる。 長年の付き合いの担当編集者もあきれ顔だ。「たたかえ!いばら姫」は地方から上京した18歳の女性・ミユキがさまざまな価値観に翻弄されていく物語。自分が何者か見出せないままのミユキは男たちに「NO」を言えず、流され続けてしまう。30歳の誕生日にどん底に到達したミユキは、やっと「自分だけにできること」を見つけるが…。

 最近はドラマの脚本を手掛けたり、著作を発表したり、そして一昨年から昨年にかけてはペヤンヌマキと安藤玉恵の生誕40周年を記念した公演「男女逆転版・痴人の愛」を上演したりリーディングで地方も回ったりと活発な活動を見せていたことからついつい忘れがちだったのだが、実は2015年の11月以来の本公演となる。

この作品を再演する意図とは 虚構の劇団『ピルグリム2019』

2019.02.18 Vol.715

 鴻上尚史が1989年(平成元年)に劇団「第三舞台」で上演した『ピルグリム』を2019年版として虚構の劇団で上演する。

 初演後は2003年に新国立劇場でシリーズ「現代へ、日本の劇」のオープニング公演として上演されており、約16年ぶりの再演となる。

 物語は連載を打ち切られた作家が、現代とその作家が描く物語の中という空間軸を交錯させながら展開する。ピルグリムというのは「巡礼者」という意味で、小説の中の登場人物たちは理想の地を求めて巡礼を続ける。そして彼らを通じて「ユートピアは存在しないかもしれない」という現実が、悲劇的な視点で、喜劇的に描き出される。

 鴻上はその時代に起こっている出来事や風潮、進化する道具といったものを敏感に察知し、その一歩二歩先を行くシチュエーションを作り物語を展開する。再演にあたっても物語の骨子はそのままに、その時代の新しい概念を取り込み、物語も進化させてきた。

「平成最後の」というフレーズが跋扈するこの時期に、この作品を再演する意図とは? 2019年という時代を鴻上がどうとらえているのかも興味深い作品。

さまざまな局面での対立構造が描かれる TRASHMASTERS『オルタリティ』

2019.02.17 Vol.715

 差別、エネルギー、被災地といった現代社会で日々起こっている問題を題材とした骨太の作品を発表し続けているTRASHMASTERS。

 その作品は一方的に弱者の声に焦点をあて、問題をあぶりだすわけではなく、為政者側のやんごとなき事情もドラマの中で見せることによって、片方の意見を煽るようなエキセントリックな論調に終わらないようなものになっている。作品を作るにあたり、作・演出の中津留章仁は綿密な取材を重ね、資料を読み込み、自分なりの考え方を確立したうえでその問題にアプローチする。ゆえに物語の随所に中津留の考えと思われるものは顔を出すのだが、それは主義主張を押し付けるのではなく、物語を進めるうえでのスパイスとなり、決して平坦な物語には終わらせないものとなっている。また登場人物もさまざまな主義主張を持つ人物がグラデーションのように用意されており、物語が進む中で自分がこの問題についてどのような立ち位置にいるのか、といったことも映し出されることになる。そんなことも含め作品を見る者は現在の社会で起こっている問題について深く考えさせられる。

 今回は受動喫煙問題を題材とした個人の権利と社会の相反性、地方自治における本音と建て前、教育現場における教師の在り方、再生可能エネルギーという理想と現実といったさまざまな局面での対立構造が描かれる。そして登場人物たちは時に反転する善悪の基準とそれに伴う関係性の変化に翻弄される。

窪田正孝「蜷川さんが見てるんじゃ……」舞台『唐版 風の又三郎』8日幕開け

2019.02.07 Vol.Web Original

 窪田正孝と柚希礼音がダブル主演する舞台、Bunkamura 30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019『唐版 風の又三郎』の公開ゲネプロが7日、渋谷のBunkamuraシアターコクーンで行われた。

 公開ゲネプロの前には、窪田と柚希、北村有起哉、風間杜夫、そして演出も担当する劇団・新宿梁山泊主宰の金守珍が参加して、取材会が行われた。

 8日に初日を控え、窪田は「みんなで仲良くやらせてもらっていたのでお客さんの前でやるっていう実感がない」としながらも「ドキドキも大きくなってきている」。柚希は「明日初日かと思うと緊張しますが、エネルギーを持って、丁寧にやってみようと思う」と意気込んだ。

【下北沢で観劇始め!!】タカハ劇団『僕らの力で世界があと何回救えたか』

2019.02.01 Vol.714

 タカハ劇団は劇作家・演出家の高羽彩が主宰を務めるプロデュースユニット。その作品は「失ってしまったもの」「取り返しのつかないこと」といった題材を通して、そこで生きている人たちの小さな絶望やどんな状況であっても変わることのない、または変わることのできない人間の在り方を描いていく。

 今回の舞台は漁獲高の減少により漁業を捨てた港町にある高校の空き教室。この町は世界的研究施設を誘致することで「サイエンスのまち」として生まれ変わろうとしていた。空き教室では町おこしの目玉イベント「サイエンスまつり」を翌日に控え、高校時代にアマチュア無線部だった3人が集まり、その準備をしているのだが、どうにもぎこちない。それは彼らの仲間で無線部のエースだった「リョウタ」が高校時代に行方不明になっており、それが彼らの関係性に微妙な影を落としていたから。そしてリョウタの失踪をめぐってそれぞれの思惑が錯綜する中、不思議な出来事が起こるのだった。

 高羽曰く「タカハ劇団のエッセンスがギュッとつまった作品であると同時に、初顔合わせの俳優さんたちの力を借りて新しい一面もお見せできるのでは」とのこと。

 ラストがハッピーエンドなのかバッドエンドなのかは見る者の過去との距離感や執着といったものによって大きく左右されそうな作品。

【下北沢で観劇始め!!】J-WAVE30周年×ゴジゲン10周年企画公演『みみばしる』

2019.01.28 Vol.714

 本作はFMラジオ局のJ-WAVEが開局30周年プロジェクトとして、松居大悟率いる劇団ゴジゲンとコラボレートしたもの。松居がナビゲーターを務める同局の番組「JUMP OVER」(毎週日曜23:00-23:54OA)を “稽古場ラジオ”と題し、時にリスナーの声を創作に反映させながら舞台制作の過程を公開。出演者もリスナーから公募するなど、ラジオ番組発の舞台作品となっている。

 作・演出を務める松居はかねてから舞台とか映像という発信手段についてはこだわりがなく、「面白いことを好きな人とやりたい。一緒にやる人が大事」というスタンスを公言。今回の作品はいわば演劇と音楽、劇場とラジオの境界線を越えた作品なのだが、そんな松居だからこそできた試みと言えそうだ。

 30歳になった途端会社をクビになったOL妙子は自分は誰にも必要とされていないのではないかと思う日々の中、妹の影響でラジオを聴き始める。音楽と共に、リスナーから送られてくる愚痴や悲しみを全力で励ましてくれるラジオに妙子はのめり込み、メッセージを投稿するようになるのだが——。

 プレビュー公演以外のすべての公演でアフタートークが開催されるとのこと。特殊な成り立ちの作品だけに、こちらも興味深いものになりそう。

三代目山下の主演舞台『八王子ゾンビーズ』の映画化が決定「おさむさんを信じて頑張りたい」

2019.01.23 Vol.Web Original

 山下健二郎(三代目 J SOUL BROTHERS)が初主演し、好評を博した舞台『八王子ゾンビーズ』のDVD発売イベントが23日、都内で行われ、山下と、共演の小澤雄太(劇団EXILE)、演出を担当した鈴木おさむが登壇した。イベントでは、映画化が決定したことも発表。山下は「舞台だけで終わらせるのはもったいないと思っていたので、いろんな形で映像化して、他にも広がっていったら」と喜んだ。

レキシの名曲で綴るミュージカル『ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』追加公演決定

2019.01.22 Vol.Web Original

 アーティスト、レキシの楽曲で綴る愛のミュージカル、愛のレキシシアター『ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』の追加公演が上演が決定した。追加されたのは、東京公演は3月21日18時30分、大阪公演は3月30日13時。

 本作は、歴史をテーマに、ファンキーなサウンドに乗せて歌って人気を集めるレキシの楽曲をもとにしたミュージカル。劇中には、「狩りから稲作へ」、「きらきら武士」、「姫君Shake!」、「SHIKIBU」、「最後の将軍」、「墾田永年私財法」、「そうだレキシーランド行こう」といった楽曲が登場する。原案と演出は、たいらのまさピコこと河原雅彦、振付は梅棒が担当する。

 主演は山本耕史。松岡茉優、佐藤流司、高田聖子、乃木坂46の井上小百合らが出演。藤井隆、八嶋智人らが脇を固める。レキシ本人の出演はない。

 東京公演は、TBS 赤坂 ACT シアターにて3月10~24日。大阪公演はオリックス劇場にて3月30、31日。追加公演のチケットは2月23日発売。詳細は公式サイトで。

【下北沢で観劇始め!!】はえぎわ『桜のその薗〜ミワクの鳥が踊る町の山の川の果ての鈴鳴る滝で一人龍を征す』

2019.01.21 Vol.714

 ノゾエ征爾率いる劇団はえぎわが今年、結成20周年を迎える。

 はえぎわの本公演は2016年の8月以来。この間、ノゾエは多くの外部公演で作・演出を務めた。中でも2016年12月の彩の国さいたま芸術劇場『1万人のゴールド・シアター2016』ではもともと脚本を担当していたものの、演出を務める予定だった蜷川幸雄氏が本番を前に逝去したことから自ら志願する形で演出も担当。演劇人として大きな成長を促す出来事となった。その後もさまざまなところで名前を見かけるように、その活躍ぶりは周知の知るところだろう。それは俳優たちにも言えることで、劇団公演がない間、みな多くの客演をこなし実力と認知度を高めてきた。

 しかし気心の知れた、もっというと無理の利くメンバーと作る作品は外部公演とは明らかに違うはず。劇団結成後、これだけ本公演の間が空いたことはなく、その分今回はそれぞれが外部で吸収してきたものを集結させた作品となるはず。
 今回のお話はノゾエ曰く「解散しない集団が作る、解散にまつわる物語」という。

 タイトルをよ〜く見ると出演者全員の名前が織り込まれている。こんなところにも劇団公演ならでは感があっていい。

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2018 DISCOVER WORLD THEATRE Vol.5『罪と罰』

2019.01.03 Vol.713

 シアターコクーンが海外の演出家を招き、新たな視点で海外の作品を上演していく「DISCOVER WORLD THEATRE」の第5弾はロシア文学の傑作長編小説『罪と罰』。今回の演出は、2015年にシアターコクーンプロデュース公演『地獄のオルフェウス』で日本での演出家デビューを飾り、2017年に『欲望という名の電車』で再度シアターコクーンで演出を担当した英国人演出家、フィリップ・ブリーン。

 物語の舞台は帝政ロシアの首都、夏のサンクトペテルブルク。頭脳明晰でありながら貧乏な青年ラスコリニコフは自分が「特別な人間」として「人類が救われ、その行為が必要ならば、法を犯す権利がある」という独自の理論を持っていた。このラスコリニコフの生き方を通して数々の普遍的なテーマに触れながら、人間回復への強烈な願望を訴えたヒューマニズムが描かれる。

 ラスコリニコフ役を務めるのは三浦春馬。ブリーンとは『地獄のオルフェウス』に続き2度目のタッグ。このキャスティングについてブリーンは「世界中どこを探しても彼の他には考えられない」とコメントしている。

ミスマッチが呼ぶ不思議なリズム『なんてったってビジランテ』実弾生活アナザー

2018.12.17 Vol.713

「実弾生活」はマルチアーティストのリタ・ジェイがプロデュースするオムニバスコントライブ。

 出演者はお笑い芸人、小劇場で活躍する俳優、女優と幅広く、そのコントも時にマニアックなネタ、時にベタなネタとバリエーションも豊富。

 特にインコさんをはじめとするお笑い芸人と女優の絡みはミスマッチが呼ぶ不思議なリズムを醸し出し、いわゆる“クセになる”感は半端ない。

 そんな実弾生活が今回は長編の演劇作品を上演するという。主人公はふとしたはずみで東京で多額の借金を抱えた女。女は東京から離れ、10年ぶりに地元へと戻る。 家族、友人、思い出の場所。 町の全てが変わらないように見えるのは、自分が変わりすぎてしまったからなのか…。

 この一見、いい話っぽいあらすじが果たしてどのようにコメディーに仕立て上げられるのか。

 出演者を見ると、上田悠介、長島光那といったこれまでの実弾生活では縁がなさそうな役者に、動物電気の森戸宏明、元カムカムミニキーナの正木航平ら小劇場出身の役者、そして歌人で俳優としても活動する枡野浩一といった名前が並ぶ。こういった面々がレギュラーメンバーたちとどういう絡みを見せるのかもとても気になる。

 また24日は昼夜共に、クリスマスプレゼントが当たるアフターイベントが行われる。

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